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「どうすか?」
山口が聞けば、平林さんは袋を口からはずして情けない顔を山口に見せた。
どうやらお気に召さなかったらしい。
自販機横のゴミ箱へ体を伸ばし、カラになった袋を捨てる平林さんに山口は笑って俺の膝上のレジ袋を示す。
「まあ他にもあるから良かったら好きなの持ってってください」
「おお。さんきゅ」
ぐわっ
ちちちかいちかいっ
平林さんが俺の横に座り袋の中を覗き込むのにやたら距離が近くなった。
ふわりと、風呂上がりに立ちのぼるシャンプーとボディソープに混じった平林さんの匂いが鼻をかすめる。
はぅぁ…凶悪な程にめちゃめちゃいい匂い…。
そんな状況でレジ袋に触られ、駄菓子の表層を探られれば振動が奴に伝わり……。
いかんっ。
これはまずいっ。
今この袋をどけられたら気持ちの悪い内股にならざるえない。
はあぁ。でもこれは……。
この、今、はりきる某「棒」をかすかに刺激してるのは平林さんの手なわけで……。
粉ジュースを舐める舌の動きが脳裏に蘇り、生唾を飲み込んだ。
「よくわかんね。どれがいいと思う?」
「あー、俺的にはその丸ちっこい白い入れ物に入ってる……」
平林さんは目が悪い。というか視界が狭いらしい。だから山口に言われて、特定のものを探すのに極端に首をそらして横目で袋の中を凝視した。
その目の真剣さに、いっそレジ袋を掻き回されて俺の内弁慶な我が子を探知されてはかなわないと、慌てて山口の言っているであろう駄菓子を平林さんに差し出した。
「そう、それ。あれ、木の匙ついてないか?」
取り出したのはポリ容器に入ってビニールで蓋をしたヨーグルッペ。木のスプーンを使用すると絶対最後までは食えないやつ。
俺は声だしたら絶対裏がえりそうで何も言えないから山口の問いには首を横に振って答えた。
ちなみにそんな俺のオススメはキャベツ太郎の向こうに半分隠れたおっぱいチョコだ。
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