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 さっき中途半端にエロい気分になったせいだ。  あDVDの途中までは良かったけど、演技丸出しの喘ぎ声で萎え……で……ぐっ…。  な、なんだと!?  茶を飲み終え、こちらに視線を向けたそいつ──いや、俺も名を知るその人は、少し斜めを向いて風呂上がりでほんのり赤くなった目尻から、こちらに流し目を送った。  爆。  心臓病用のニトログリセリン飲むとこんな感じなのか? 全然違うのか? とにかく心臓が暴れた。  おイタな我が子が拳をあげてイエーイ! と飛び上がっているような幻想。開けてはいけない世界の扉を開けようとしている、ような気がする。  3年の先輩……いや、俺が3年になったから違うか。4年……いや、んなもんねえわ。なんかとにかく一つ先輩の平林さんは、俺をその破壊的に色っぽい目で見たあと、目と体をこっち正面に向けて端正な、綺麗な顔に笑顔をのせた。  ぐああぁぁ。  これは辻斬りだ、もう。  袈裟懸けにばっさりだ。 「ああ、俺平林っていって昨日から寮入ってるんだ。よろしく」  平林さん。知ってます。  射撃部でよく表彰されてたし、なんつっても昨年の文化祭コスプレでは女子の間で画像が飛び交っていたほどの有名人。  うむ。あれは色っぽかった。 「関谷っす。あの……」  目を悪くして休学したって聞いてたけど……。 「あっちー」  その時、廊下の向こうからイケメン黒川がTシャツをパタパタさせながら現れた。シャワー後らしく髪からはまだ雫が垂れている。  くそう。かっこいいな。  こいつはこの間ジュニアオリンピックのライフルで金メダルをとった。  顔いいし、背高いし、いい体してるし、性格いいし、なんだかんだで理数系に進んでるし、女癖の悪いところがなければ完璧な奴だ。いや、女癖の悪いところもモテスペックってやつか。  カッコイケメンに限るってやつの、なんでも許されるタイプの奴。  何で? 前世でどんな感じの徳積んだらそんなことになれんのよ。
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