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 男で勃起するというこの不測の事態は大変俺を驚愕に陥れた。  だって俺は女の子が好きだからだ!!  その守備範囲の広さたるや、NBAなら俺は守備王だろう。まあ、監督が試合に出してくれないわけだがな。  もしかしてグラビア雑誌ではなくゲイ雑誌を買うことになるのかと慌てて一番お気に入りの優奈の写真集を手にしてみたら、見事勃ち上がってほっとした。  あの日の平林さんへの欲情は、エロDVDの流れでおかしくなってたせいだと思ってまたシャワー後の平林さんを目撃したら、優奈と同じ反応が出て死にたくなった。  クラスが違ってて良かった。同じクラスだとかなりリスキーだったろう。  そう。あれから結局気がつけば平林さんを目で追ってる。  例えば体育には出ないんだなーとか。  スマホじゃなくてまだ携帯なんだなーとか。  いつも目新しい紅茶飲んでるなーとか。  結構人見知りなんだなーとか。  笑ってる顔が結構子供っぽくて可愛いんだなーとか。  黒川に勉強を教えてやってるんだなーとか。  黒川がやけに懐いてるんだなーとか。  黒川最近女と揉めてないなーとか。  黒川はトランクス派だなーとか。  あれ? 黒川?  あら嫌だ恐い。知らない間に黒川くんのこと考えてた。テヘペロンギヌス。  って、そんなことはどうでもいいんだよ。  黒川は部活と飯とシャワーとトイレ以外ずっと平林さんにベッタリだ。  もう、金魚の排泄物ばりに。  友達は多いが基本的に一匹狼気質だった奴がえらい変わりようだと思った。  だって元が世紀末覇者拳王ラオウだもの。じゃあなんだ? ユリアは平林さんか? ケンシロウが桐山カイとなると……。わーい。  朝の貴重な時間にできてない宿題をやっつけようとしたのに、変な妄想が邪魔をする。  北斗の拳で当てはめても、結局俺のセリフは「ヒデブ」「アベシ」なんだろうなーなんて自虐的な、それでも核心をついたことを考えてたら──
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