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「あ、あった! ほら、これ岸先輩」 「マジでー? あー、まあ可愛っちゃ可愛いけどなんか、微妙?」 「はあ? 岸先輩はカッコいいから!! 生でみたらほんと、違うから。わかってないわー」 「だって平林さんと同じ学年にそんなイケメンていなかったよ。いたら絶対私のイケメンサーチにかかってたはず!!」  岸先輩とやらも、まさか自分が男と番扱いされ、あまつさえ容姿をイジられてるとはノミほども思ってるまい。 「じゃあ、じゃあ、これは?」 「あー、まあ、こっちの写真がマシ? でも横の平林先輩の方が全然カッコいい」 「種類が違うよね」 「あんたら、ほんと、一回死んで」 「ねえ、平林先輩の写真は?」 「えーとね、これとか?」 「きゃーーーーーーーーーーー!!!」  ものすごい絶叫に、さすがにそっちを見たら、半数ほどが登校していた教室内の全ての目がその声の主に向けられているのが視界の隅でわかった。 「影山うるせー」 「ごめーん」  後ろの方の男子の苦情に、腐女子Aと思われる影山が小さく舌を出した。  イケてない系の女子かと思ったら、普通にクラスでも明るい部類のグループに属する影山だったので少し驚いた。 「ちょ、これやばくない!? 卒業アルバム?」  懸命に声を抑えるが、興奮がにじみ出ていた。 「うん。友達のお姉ちゃんの映させてもらった。普通写り悪い卒業写真でこればおかしいでしょう? やばいでしょ? じゃあ、これは?」 「ぐっ……も、萌え殺す気かああああああ」  叫びだしそうなのをなんとかこらえたらしい。 「見せて見せ……うっ。これは……だめだ……ガクッ」  そしてもうひとりはコト切れた。
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