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 デカイ鼻くそでもついてなきゃ二度見されることなんてないご面相の俺は二人とは住む世界が違うのだ。  それはウソ・大げさ・紛らわしいなんてことなくて、エーシーにだって胸張って言える。越えられない壁は確かに存在するのだと!!  彼らは──いや、彼らだけじゃなく学校の階層上位の奴らは煌めいていて、俺は暗がりにいるからそれが一層まぶしく見える。  越えられない。だからせめてその輝きに近づきたいと願うが、話しかけることがもうままならない。  卑下しすぎだと、奴らは人よりもいい塩梅にパーツが配置されただけで、皮を剥いだら皆同じ肉と骨なんだと自らに言い聞かせても、染み込んだものはどうしようもない。  恐れ多い。そう。まさにそれ。  え。俺なんかと話してもらっていいんすか。  平林さんと寮内で会ってもそんなスタンスだから、本人を目の前にすると緊張してわけのわからないことを言ってしまって、全く話が続かない。あの気まずさったらもう。  そもそも天界人の黒川と今気楽に話ができるのだって、一年の時に寮の部屋が一緒だったからだ。  でなきゃあんなキラキラ天界人みたいな奴、一生関わり合いがなかったろう。  だからそんな頂点みたいな、「この世をばわが世とぞ思ふby道長 」みたいな奴は、きっと悩みからが俺とは全然違んだろうな。    ていうか藤原道長ってすげえよな、パパさんに「どーせお前らなんて栄光の影さえ踏めねーわ」って言われて「影は踏めないけど、頭踏んでやるっす」つって、マジで踏んじゃったんだろ? やべーだろ。  俺なんかじゃ「さーせん、さーせん(そもそもその影どこにあんだよ)」くらいが関の山だわ。  やっぱキラキラの奴は違うんだ。色々と。
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