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「やっぱりΔ田って『降雪体質』だったんだね…」
そう言って、幼い頃と変わらない笑顔を私に向けるテイ。私は首を振る。
「違う。違うよ、そんなものない。テイΔ角に騙されてるんだよ」
「私は先生の事が好き」
「騙されてるんだってば!」
「関係ない。愛してくれた」
「そんなのおかしい!目を覚まして!」
夏の夕日が私を焦がして、テイの形を曖昧にしてしまう。違う、違う、
「Δ田ぁ、さては疑ったね?」
「なにいってるの!?わかんない!」
「ジャマになっちゃったのかな?」
「やめて!なんでそんな事いうの!?」
「いったじゃん、習慣は続けないとさ?」
「私は『降雪体質』なんかじゃない!」
「そう?」
ボヤケているのは、夕日と涙のせいなんだ。
「昔と変わっちゃった親友の幻覚、楽しかった?」
「やめて……やめてよぉ…」
「私達は、何かにぶつかって反射した光をみてるんだって…」
「なにいってるの?わかんない…」
「光を透過するものからの影響を、だからって、鼻で笑う姿勢はどうなんだろうね?」
「わかんない……テイ…」
「そんな事をいう人達には、きっと想いなんてものの形が、観えてるんだろうって、さぁ?」
「なにいってるの…」
「私が少しずつ消えてく理由かな…」
テイの曖昧さが少しずつ、拡がるようにして夕日に混じっていく。テイを象る黒い陰が、徐々に白く透けていく。
「そんなの、だって、みえてる…」
「そうさ、きっと嘘さ。とんだ詭弁さ。でも、Δ田は今、それじゃ仕方ないって、自分を説得してる」
「してない!私はテイが好き!大好き!私にはテイが必要なの!」
「そうかな?どうかな?」
テイの言葉を信じるのならば、『降雪体質』の因果は、逆なのだそうだ。
「病院いきなよ。きっと、病識を貰えるはず」
「やだ……やだぁ…」
曖昧なはずのテイは、最後にハッキリ、笑顔になって、
「バイバイ」
雪のように、溶けていってしまった。
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