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十二月。僕が家に帰ると家庭教師のうた先生はもういて瑠璃お兄ちゃんとお茶していた。
「翡翠くん、おかえり。テストはどうだった?」
僕がテストのある日はうた先生はいつも早目に来ている。間違ったとことか重点的に教えるためなんだって。
僕はランドセルから今日あった国語のテストを取り出す。
「百点満点か。流石だね」
「えへへへ」
その様子を見ていた瑠璃お兄ちゃんが僕の頭をくしゃくしゃ撫でる。
「翡翠は頑張り屋だもんなぁ」
「えへへへ。あ、そうだ。うた先生と瑠璃お兄ちゃんに聞きたいことあるんだ」
「何かな?」
「何何?」
「フーフーとスイスイが言っていたんだけど踏んづけクリスマスって何?」
気まずい空気が流れる。
「こほん。翡翠くんはそれを知ってどうするのかな?」
冷静を装ううた先生。
「んーー。せっかくにょたチョコ男子やってるんだから踏んづけクリスマスやろっか? って話になってて」
「翡翠……。あんまり急いで大人の階段昇るものじゃないよ?」
瑠璃お兄ちゃんが諭すようにが呟く。
「翡翠がもう少し大人になったら教えてあげるから」
「えぇーー。せっかく束砂お姉ちゃんが衣装作ってくれるのに……」
「なんでそんな話進んでるの!? 翡翠くん!?」
「え? なんか伊織先生が任せとけって……」
「あいつかよ……」
そう呟いた瑠璃お兄ちゃんはちょっと怖かった。
「まぁ踏んづけクリスマスじゃなくてもクリスマス会は楽しめるからさ」
うた先生にそう言われて僕は黙るしかなかった。
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