突然のプロポーズ?

7/11
前へ
/112ページ
次へ
「返事は……?」 瑛ちゃんは私を抱き寄せたまま、問いかけてきた。貸切にしてくれたり、二人きりだったり、状況の流れ的に、これはいつもの冗談では無く本気なのだと受け取れる。 優秀な外科医チームがある、日本でも有名な総合病院の跡取り息子の瑛ちゃんと私なんかが釣り合う訳が無い。そんな訳で瑛ちゃんへの想いは恋心では無い、そう自分にずっと言い聞かせてきた。 鍵を掛けて大切にしまっておいた宝物の封印が解かれる様に、心の奥底で想い続けていた気持ちが一気に溢れ出す。 本当は……瑛ちゃんが好き、大好き。 溢れ出る想いを伝えても良いのかな? 「私、……瑛ちゃんが好き。ずっと、ずっと大好きだった。わ、たし、なんかが……瑛ちゃんとけっ、こんしても……良いの、かな?」 恥ずかしいながらも想いを伝える。嬉しくて涙が頬に流れ落ちて来て、言葉が途切れ途切れになってしまう。 「俺も陽菜乃が良いんだよ。離れている間に陽菜乃じゃなきゃ駄目だと気付いたんだ。 アメリカの病院では、日々学ぶ事が多くて……唯一の癒しが陽菜乃だった。帰って来たらタイミングを見て結婚しようと伝えようと思った。陽菜乃が他の男にとられる位なら直ぐにでも結婚して、一生一緒に居たいと思った。……だから、陽菜乃が俺の事を好きだと言ってくれるなら、結婚しよう」 「……瑛ちゃん、嬉し過ぎて……どうしよ……」 やり場に困っていた私の両腕を瑛ちゃんの背中に回した。ぎゅうっと抱きしめて、存在を確かめる。 人生も捨てたもんじゃない、初めてそう思った。
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!

719人が本棚に入れています
本棚に追加