突然のプロポーズ?

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「もういい加減、泣きやめ」 瑛ちゃんは私の涙を止めるようにポンポンと背中を軽く叩く。幼い頃、転んで泣いていた時にも同じ様に背中をポンポンとされた記憶がある。忘れかけていた記憶が次第に蘇り、何だか可笑しくなって笑ってしまった。 「……っぷは、あはは、小さい頃にも瑛ちゃんに慰めてもらったよね?」 「お前、昔から泣き虫だったからな。……それでもって、慰めると直ぐに泣き止んで笑う。昔から変わらないな」 「……っもう! いつまでも子供扱いするんだから!」 瑛ちゃんは私から身体を離して微笑む。 六歳も違うと私が高校に入学した年には瑛ちゃんは大学三年だ。高校生と大学生なら聞こえも良いかもしれないが、私が小学校に入学した年に瑛ちゃんは中学校に入学すると言ったら歳の差を感じてしまうものだ。 大人になればなる程、歳の差なんて気にならなくなるのにな。 「もう子供扱いはしないよ。近い将来、陽菜乃は俺の妻になるんだから。これからは対等に扱う」 「対等……?」 「籍を入れるまでは恋人として、籍を入れてからは妻として、お互いに対等になる訳だから遠慮も無しな」 私は素直にコクンと頷く。 「お互いに辛い時は支え合って、楽しい時や嬉しい時は分かち合って行こう。そして、勿論……陽菜乃に触れる事も遠慮はしないからな」 瑛ちゃんの目を見ながら話を聞いていたら、突然に頬に手を触れられて驚く。驚き過ぎて目を見開いたまま、唇が重ねられた。
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