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唇が離された後、私は呆然としてしまった。結婚を申し込まれた事も不意打ちに過ぎないのに、キスまでしてしまうとは頭の中がパニック状態。
呆然としている私を見てはクスクスと静かに笑っている瑛ちゃんは、大人の余裕すら感じる。キスぐらいで驚いてしまうなんて、子供だなって馬鹿にされるかもしれない。
私だってキスをした事が無い訳では無い。高校生の頃に何となく付き合った男の子とキスは経験済だが、その男の子とは長続きはせずに直ぐに別れた。その後は恥ずかしながら、恋人と呼べる人は出来ずに今まで過ごしていたから男性経験も無いに等しいのだ。
「陽菜乃は本当に可愛いな」
今度は私の額に触れるだけのキスを落とした。その後の瑛ちゃんは幸せそうな顔をして、練り切りと少し冷めてしまった抹茶ラテを堪能している。そんな瑛ちゃんを見ている内に、私の顔は茹でダコみたいに赤くなっていく。
「正式に籍を入れたらキス以上の事もするし、一緒に暮らしたら、めいいっぱい甘やかすし可愛がるから。そのつもりで、居て……?」
「……っゔ、そ、そーゆーのは言葉に出して、い、言わないで!」
胸の高鳴りも最高潮になり、益々、顔に火照りを感じてしまう。顔から火が出てしまいそうな位に熱い。
瑛ちゃんとキス以上もして、一緒に暮らして、……私のチキンハートな心臓は耐えられる?
「陽菜乃と結婚するって高雅に伝えたら喜んでくれるかな? それとも怒られるかな? あ、高雅が義理の兄になるのは少し腑に落ちないな」
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