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 卒業生たちがみんな、最後のホームルームが終わって教室から出てきた。  高校生最後の日、友達や先生、クラス全員で一緒に写真を撮ったり、卒業式と書かれた看板の前で保護者と写真を撮っていたり。  涙目になりながら卒業しても仲良くしてね、とか、泣くなよなんて泣いている子を慰めている生徒も見える。  毎年見るそんな光景に、今年も青春だなあなんて昔を振り返る。  僕だけじゃなくて、他の先生もこの光景を見たらだいたいそうやって自分の学生時代を思い出すらしい。  近くにいる先生も懐かしいわね、なんて話し合っている。 「先生〜!写真撮ってください!」 「僕でいいの?」 「先生がいいの!だって今日で最後だよ!?イケメンと写真撮っとかないと!」 「彼氏いないからって先生をその代わりにするなよ」 「こらそこ!うるさいよ!」  きゃっきゃ、と女子生徒が言う様子を見て僕もくすっとわらった。  その女子生徒と写真を撮り終わると、すぐにその近くから男子生徒3人組がやってくる。 「せーんせ!」 「三上くん。荒木くんと芹澤くんも。卒業おめでとう」 「あざす!」  3人と色々話しながら、流れで写真を撮る。  芹澤くん以外の2人も合格待ちではあるけれど進学予定らしい。  しかも一人暮らしを始めるらしく、アドバイスをくれと言われたけれど、僕も大したことは言ってあげられなかった。  荒木くん三上とはそこで別れて、僕と芹澤くんはこっそりと校舎に戻って音楽室へ向かった。
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