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プロローグ
破裂音とともに扉が粉々に砕け散る。魔法銃を構えた黒ローブの男達が研究所に駆け込んできた。
「殺しても構わん、絶対に『石』を探し出せ!」
「了解」
張り巡らせた伝令管のひとつから音を拾いあげ、博士は事態を把握した。
一軒家に見せかけた研究所には迎え撃つ兵器もなければシェルターもない。
覚悟を決めて寄り添う少女に優し気な視線を向ける。
「メメル、裏口から逃げろ。何があっても生き延びるんだ」
「いやだ! 父ちゃんを置いてなんか行けないよ!」
「いいかい、お前は世界の希望なんだから」
博士はメメルを諭して引き離そうとするが、メメルは腕にしがみついたままだ。
男達の足音が近づき、扉がこじ開けられた。
「メメル、離れろ!」
博士がメメルを突き飛ばした瞬間――銃口から放たれた魔性の雨が博士の身体に降り注いだ。
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