浅葱色に染まる

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 萬吉は瓦版を手にしたまま、再び壬生寺へと走った。  浪士たちが自分よりも早く情報を入手していることは分かっていたが、それでも出来るだけ急いだ。 「萬吉」 「土方はん」  壬生寺の入り口に、誰かを待っているような様子で土方が立っていた。  萬吉が持っているものをいち早く察した彼は、萬吉の肩に腕を回して低い声で囁いた。 「いいか。今後はここへ来るな。来ても安全になったら、誰かを呼びに行かせる」  それは間違いなく、萬吉の身を案ずる土方の気遣いだった。何か良くないことが起こる兆しに息が詰まった。萬吉が何も聞かずに頷くと、土方は明るく笑って言った。 「呼んだらすぐに来てくれよ。お前が必要だからな!」 「へ?」  思いもかけなかった言葉。行幸は明らかに壬生浪士たちに不利になるはずの行事だ。なのにこんなにも彼の目は輝いている。 「時代は変わるぞ。萬吉!」
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