浅葱色に染まる

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「私たちが、この色に意味を付けるってことか。なんかいいなあ」  父の後ろ姿を見送った後、他の浪士が言った。真っ直ぐな瞳で、表情は明るかった。  その言葉の輝きに、萬吉の中の何かが大きく揺さぶられ、じわじわと熱を持っていく。 「本当だな、平助。俺たちの活躍で、京都がこの色に染まるかもよ!」 「それはそれで困りませんか」  若い二人を筆頭に盛り上がる中、土方は苦笑いして腰に手を当てた。 「八木家に戻るか。腹減った」 「そうですね」  一行は萬吉に「お邪魔しちまった」と声をかけて屋敷の門を潜った。麻の羽織は既に皺だらけだ。  彼らの姿が見えなくなった後、萬吉は居ても立っても居られず、母屋に飛び込んではまた飛び出して彼らを追った。 「すんまへん!」  大きな声で呼び止めると、浅葱色の羽織の浪士たちは振り返った。 「火のし、かけさせておくれやす!」
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