浅葱色に染まる

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 浪士たちは萬吉を見つめた後、お互いの羽織を見た。しばらく無言だったが、堪えきれずに沖田が最初に噴き出した。 「本当だ、俺たち、しわくちゃだぁな!」  互いの羽織を引っ張り合い、彼らは腹を抱えて笑った。 「いいですよね、土方さん。お願いしても」  沖田が尋ねると、少し離れたところで口の端を上げて笑っていた土方は、「うーん」とわざとらしく考え込んだ。 「近藤さんに聞いてみな」 ***  壬生浪士組の調練場である壬生寺に迎え入れられた萬吉は、本堂に座り、屋敷から持ってきた火のしと炭で、早速羽織の皺を一つ一つ伸ばしていった。 「綺麗になるもんだなぁ」 「麻生地は、洗った後に干しておけば大抵の皺はとれますえ」 「洗ってねぇからね」 「言うな」  浪士たちが皺の取れたぴんぴんの羽織を身につけて喜んでいる様子に、萬吉は口元が緩んだ。 「萬吉は今年で二十歳って言ってたな。天保十五年生まれだろ」  沖田に尋ねられて、「へえ」と頷くと、二人がこちらを向いた。 「平助と斉藤も同い年だよ」
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