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 光源が失われた画面を見て、やっぱり始めから切っとくべきだったのかもしれない、と自分を(なじ)ったが、それでも「返信した」という事実のほうが、僕には少なからず余計な禍根を残さずに済む最良の選択だと思えた。 『……あさの公園前に間もなく到着します』  再び流れたアナウンスに弾かれふと顔を上げると、いつの間にか降車を示すボタンがオレンジ色に点灯していた。誰かが押したのだろう。窓の外では雨雲を湛えた景色がちょうど日暮れと相まって、絶妙な陰影を落としている。人影がぼんやりと滲んで見える程度の(くら)さだ。これなら誰も僕を僕だと気づかない。  死にたいと願っていることも、今から死のうとしていることさえも。    バスのスピードが徐々に緩められていくのを感じながら、僕は一心に自分の存在を否定し続けていた。単純に、一刻でも早くこの瞬間から逃れられる理由が欲しかった。窮屈なほどに(むしば)む、苛立ちも焦燥も、惰性も。自分がこれから実行しようとしていることを思えば、そのどれもが取るに足らない、くだらない現実だった。
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