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 クリスマスイブの夜は、どこもかしこも賑やかだった。街はイルミネーションで彩られ、行き交う人々もどこか浮き足立っているように見える。そんな中、僕は一人病院へと続く道を歩いていた。  渡せるようなプレゼントは用意ができなかった。アクセサリーや洋服、小物や化粧品。思い浮かぶものはあったけれど、どれも真陽が本当に欲しい物ではないような気がして、結局何も選べなかった。だから、僕が用意できるものなんて、一つしかなかった。せっかくの誕生日だというのに、こんなにも晴れない気持ちを抱えたままでは、彼女にも失礼だと分かっていたからだ。他でもない、彼女自身が望んでいることを、僕が拒むなんてできるはずがなかった。  病院へ着くと、いつも通り受付を済ませて病室へと向かう。いつの間にか見慣れてしまった廊下を進み、彼女がいる部屋の前まで来ると、僕は扉を軽くノックした。すぐに「はーい」と在室を知らせる声が返ってくる。そのことに安堵しながら扉を開くと、ベッドの上で上体を起こした真陽と目が合った。彼女は僕の顔を見ると、嬉しそうに笑った。 「朔くん!」  無邪気な声を上げる彼女とは対照的に、僕は思わず息を飲んだ。昨日までなかったはずの酸素チューブや点滴が、彼女に繋がれていたからだ。
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