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 この世で何かを成せるのも、何者かになれるのも、結局は神様に選ばれたほんの一部の人間だけで、自分がそうではないことくらい十二分に分かっていたはずなのに、だ。  秀でた才能なんてない。ましてや、漫画やドラマみたいに特別なことなんて起きない。過ぎた時間は戻らないし、失ったものも取り戻せない。  ただ、消費されていくだけだ。 『次はあさの公園前、あさの公園前です。お降りの方は......』  車内の自動アナウンスが流れる。と同時に、スクールバックの中に入れていたスマートフォンがブン、と短く震えた。  普段連絡を取り合うような関係の友人はいないし、メルマガだって登録していない僕には、それが誰からの連絡であるかは容易に想像がついた。故に、例えようのない気持ち悪さが、何の前触れもなく込み上げてくる。つくづく、現実という理不尽な世界は、いい加減で無神経な形をした化け物そのものだ。あらかじめ答えが決められた解を導き出すことほど、無意味なものはない。僕に残された選択肢などたかが知れている。
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