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簾を捲って外に出た。初夏の太陽が苛烈なまでの光を自分に注ぐ。目が潰れるのではないかと思えるほど眩しかった。
もうこれ以上は無駄かもしれない、頭の中で諦めの気持ちがちらついていた。
ティムルーク戦線で水源を奪還してからすぐ後、可能な限り急いで、このナムサ近郊まで来たが、ここに到着してからもう二週間近く経っていた。
本当ならすぐにでも邪教の連中を撫で斬りにしてやりたい気分だったが、力任せに都を攻めるような真似はしなかった。いくら自分達第十一管区隊とはいえ、この数では力押しをしたところで上手くいく保証はなかったからだ。
両手を大きく広げて息を大きく吸いこんだ。澄んだ空気には何の混じりけもなく臭いもしない。ただ、目で捉えられないほど小さな砂粒が顔中にまとわりつくだけだ。
「あの男は本当に何も知らないのかもしれないな」
自分の後に続いて出てきたフェリクス卿に向かって背中越しに声を掛けた。
「まだ分かりません、口を割らせられるかもしれない、もう少し粘ってみてもいいのではないでしょうか?」
さっきとは打って変わったような理知的な口調が返って来た。
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