02_沖田という男

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翌日、暁は泊めてもらった沖田の家から病院に向かい、その足で携帯ショップで新規でスマートフォンの契約を済ませた。 昨日教えてもらった沖田の連絡先もすぐに登録した。 「...異常なし、か。...じゃあなんで沖田さんのこと忘れてんだよ。わけわかんね...」 朝一で行った病院でMRIなど検査も受けてきたが、特段の異常は見つからなかった。 医師に記憶の一部が抜けているという話もしてはみたものの、一過性のものかもしれないからそこまで気にする必要はないと言われてしまった。 釈然としない気持ちのまま自宅へと帰り、久々な気のする自室のベッドに体を預ける。 ───沖田真耶。 ....俺の恋人───── 結局は何もわからずじまいだ。 病院に行けば何かわかるかもと他力本願にも近い形で考えていたが、これはまた沖田を落胆させてしまうかもしれない。 それでもやはり、ちゃんと伝えなければならない。 暁は気が重いまま真新しいスマホを手に取り、沖田に今日の診断結果を含めて連絡をした。
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