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あれからどれくらい時間が経ったんだろう。
次に暁が目を覚ました時には、カーテンの隙間からオレンジ色の夕焼けが差し込んでいて、どこでも寝ることができる緊張感のなさは健在だなと意味もなく笑った。
部屋の中は相変わらず静かで、沖田が出掛ける前に置いてたであろう枕元に置かれたお茶を一飲みしてから、這い出るようにベッドから足を下ろす。
ベッドの横には綺麗に揃えられた黒いスリッパが用意されており、沖田が自分のために用意してくれたんだろうと迷わず足を通した。
...トイレ、どこだろう。
ただそれだけを考えて、部屋から廊下へと出てみる。
間取りは自分の家よりだいぶ広い。
今いた部屋の他に対面キッチンのあるダイニングがあった。
窓の外を見る限りここは3階以上のようだし、なかなかいい暮らしをしていることはたしかだ。
そもそも沖田は何歳で、どんな仕事をしている人物なのだろうか。
こんな自分との接点は一体何だったのだろうか。
ふと沖田の人物像や関係性に考えを巡らせてみてもやはり何も思い出すことはできず、申し訳なさと混乱がまた心を蝕んだ。
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