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「ああ、そうだ」
お兄ちゃんは、穏やかに答えた。
本郷くんは、じっと考えた後で言った。
「僕は、教師になりたいという夢を持っています……が、それが?」
「そうか、教師か……。いい夢だな」
お兄ちゃんは、呟いた。
「私の夢は、日本に来ることだった……。ずっと幼い頃から、密かに日本のアニメを見て、漫画を読んで、その文化を勉強して、憧れていた……」
そうだったのか、お兄ちゃん。
だから、こんなに日本通なのか……。
お兄ちゃんは、続けた。
「夢は、生きていく糧だ。少なくとも、私はそうだった。幼い頃より、シンファ王国の王子として、古いしきたりに縛られ、辛い生活だった。それでも、いつか日本に行くという夢だけが支えだった……」
えっ?
そうだったの?
お兄ちゃん。
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