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嘘のような話だが、実際僕は今ナツメの中にいるのだから信じるしかない。
ただ、ナツメの手では頬をつねることはできなかったので夢でないという保証はなかった。
毎年はナツメにしか入れなかったのに今年はナツメが満室で、試しに空室だった僕に入ってみたら入れたのだと姉さんは笑った。
それから急に真面目な顔をしたかと思うと姉さんのお説教が始まった。
「寝ている間にナツメに聞いたけど、ヒロム、あんたやばかったらしいよ?」
すぐには何が言いたいかつかめなかった。
「ナツメが抜け出すヒロムをつかんでなかったらそれこそ死んでいたかもしれない」
姉さんによると、生きている人間も心や体の疲れで魂が抜けだすことがあるらしいが、遠くに行き過ぎて戻れなくなって亡くなることがまあまああるらしい。
逃げ出したくとも死にたいなんて1度も思ったことがなかったのでぞっとした。
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