ナツメといた夏

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 6つ年上だった姉さんは翌年高校に進学した。  陸上部のスポーツ推薦で進学を決めた姉さんは家を離れ祖父母の家で暮らすことになった。  祖父母は諸手を挙げて歓迎したが、義理の両親である彼らとの折り合いが悪く、同居を解消した過去を持つ母さんは複雑な顔をしていた。  それでも母さんは姉さんを誇りに思い応援していたので反対はしなかった。  もし、そのまま姉さんが戻ってこないと知っていたら母さんは是が非でも止めていただろう。  もちろん姉さんはナツメを連れていくつもりだった。  しかしナツメは姉さんが旅立ったその日も戻ってきてしまった。  いつもの鐘が鳴る時間に。  大好きな姉さんが行ってしまうことに拗ねて見送りにも出てこなかった僕を心配して戻ってきてくれたのかもしれない。  その後もナツメは我が家にいるが、大きくなったナツメは前のように頻繁にすり寄ってくることはなくなった。  気まぐれに甘えてくることはあったが、それは決まって悲しい思い出の詰まった夏の暑い日だったような気がする。
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