ナツメといた夏

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 どれくらいたったかはわからない。 「大丈夫? まさか先客がいるなんて思わなくて」  目が覚めた僕をのぞき込むその顔は間違いなく僕の顔だった。 「ドッペルゲンガーにあったらどうなるんだっけ」  思わずそうつぶやくと、僕の顔をしたなにかは爆笑した。 僕は本当の僕が笑った記憶をたぐり寄せながら、おなかを抱えて笑い続ける僕のようなものを眺めていた。 「安心して。ドッペルゲンガーじゃないから。ヒロムはまだ死なないよ」  まだ目に涙を浮かべ笑いをかみ殺している僕ではない何かは、僕を抱き上げた。  急激な上昇を感じた後の慣れない浮遊感に僕は思わず目をつぶる。 「目を開いてよく見て。わかる? ヒロムは今ナツメなの。そして私がヒロム」  目の前には鏡、そしてその中には僕とナツメが映っている。
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