ナツメといた夏

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 まったくもって意味が分からないが、確かに僕が動くとナツメが動く。  いつものナツメとはどこか違う気がして鏡をのぞき込んでみたがが、目の色が僕の色に変わっていた。 「私がだれかわかる?」  いたずらっぽく笑う僕の偽物を僕は間違いなく知っていた。  ずいぶん久しぶりに聞く声を、気が遠くなる前に確かに僕は聞いた。  6年たった今も変わらない懐かしい声だった。 「まさか……姉さん? なんで……」  僕の答えに、姉さんは破顔した。 「あたり。忘れずにいてくれたのね」  心底うれしそうな姉さんだが、ここにいるはずのない人だ。 もう二度と会えないと思っていた人だが、憧れであり尊敬していた姉さんを忘れるはずがない。
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