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「ねえ、ウサギ解禁って聞いた?」
夕食の八宝菜を自分の取り皿にいれていたタクミは、丸い目を上げた。
「ああ、昼のニュースで見たよ。午後からは社内でもその話題で持ちきりだった」
「ひどいこと思いついたもんよね。いくら支持率低いからってやけになって何してもいいってわけじゃないのにねえ」
「そう? 俺は案外悪くないんじゃないかなって思ってるけどね。若者に政治に興味持たせるにはこれくらい奇抜なアイディア必要だよ。まあ、賛否両論われるのはわかるけどね」
「えー、子供のお遊戯会じゃないんだから。今日の夕方のニュースで若い男の子がウサギの耳つけて中継してて馬鹿っぽかったよ」
「確かになあ……実際にそれをつけて街中歩けって言われたら厳しいよなあ」
「まあ、若い子たちがつけるのはかわいくていいかもしれないけど」
そう言いながら見ると、タクミは黙ってうなずきながらもう鶉卵に熱中している。ちょっと物足りない思いがしながら、その話はそこで終わりになった。
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