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「春野さんは、うさ耳つけないんですか?」
ある日の昼休みに、今野君に突然聞かれた。ムードメーカーの今野君は、いち早く公式うさ耳をつけ始めたので、もはや彼の顔にはうさ耳が同化している。
「結構似合いそうなのに」
一花ちゃんも、にこにこしながらうなづいている。
「私はいいわよ」
二人のうさ耳を見比べながら即答する。
「春野さんは、白だな。色が白いからやっぱり白兎のイメージですね」
つぶらな瞳の今野君に言われると我知らずほほが染まる。
「今野さん、こういうの、今はウサハラっていうらしいですよ」
いつもは黙ってにこにこしているだけの一花ちゃんが、珍しく口をはさんだ。
「ウサハラ?」
「そう、ウサギハラスメントの略でウサハラ」
「なんでもハラスメントな時代なんだなあ……」
頭をかきながらあきれた声を出す今野君に、一花ちゃんはさらに思い切った発言をつづけた。
「今野さんのさっきのは、セクハラって言われちゃいますよ」
一花ちゃんがこんな大胆なことを言えるようになったのは、確実にうさ耳の効果だ。そんなことを考えながら、まんざらでもない自分がいる。
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