当たりますよ?

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当たりますよ?

俺は心を落ち着かせ、いつものように神経を集中してカードをシャッフルし並べて占う。 ーーさっき彼女いるって言ってたはずなのに…。 「現在……思い出…心残り。忘れ物……。貴方は昔付き合った人で忘れられない人がいるのではありませんか?だから前に進めない……?」 先生の顔は酔いが覚めたように青くなり、無言のまま動揺している。ここにいた誰もが、当たっている事を確信した。女先生達もさっきまで、覗き込んでいたのに、何も言えずに空気が重くなった。 俺は、触れてはいけないところを触れてしまった事になんだか罪悪感を感じた。 俺は取り繕った顔で何ごともなかったようにこの空気を変えようと話しだす。 「占いですので、心辺りがあってもなくても、無意識の部分かもしれません。未来を見てみましょう」 俺は未来のカードを開いた。みんなが息を呑んでそのカードに注目した。女教皇の正位置がでた。 「未来…人を見抜く力が冴え渡っているときなので、今であった人とは良いお付き合いができるでしょう。」 女先生達は、俺の言葉を聞いた瞬間、顔が一気に明るくなり期待した顔で先生の顔を見る。 「先生!私にもチャンスありますね!」 「先生と仲良くなりたい!」 男は少しほっとしたような顔をして、タロットを見つめていた。そして盗み見る俺と目があった。 この男は保健医の(かつらぎ)先生と言う。美形で雰囲気も仕事も緩く、いわゆるちょいワルな先生だ。生徒からも人気がある先生で、保健医なのに、ちょこちょこ屋上でタバコを吸ってるいるのを俺は知っていた。 俺はすぐに帽子で視線をずらし顔を隠す。柊先生は俺の方を何も言わずに見ているはずだ。帽子ごしにも視線を感じた。 酔っ払いの笑い声や罵声など街の色んな音だけが、俺の耳に届く。今この場で、少しでも動けば柊先生に正体がバレる気がして俺は動けなかった。 息をするのもいけないようなそんな気になった。 すると何も知らない女先生が沈黙を破り、変わる代わりに恋愛占いをさせられた。 ーー助かった。バレたかと思った。 柊先生は女先生が占ってもらってる間も何も話さなかった。そして女先生達と帰っていった。 それがまた、俺の危機感を募らせた。
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