またですか?

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またですか?

PM21時頃また女装して占いの店を開いた。今日は昨日と比べて寒く、早目に店じまいをしようと思っている時だった。 柊先生がまた俺の店に来た。俺は、柊先生の顔を見た瞬間もうダメかもしれないと思った。男1人で占いなんかに連日くる奴なんて普通はいない。 柊先生は目的があってここに来たとしか考えられなかった。俺は内心、項垂れていた。 「占ってもらいたいんですけどいいですか?」 まさかの先生の言葉に驚いて先生の顔をみた。俺は平然をすぐに装った。 「はい。大丈夫です。何を占えばいいのですか?」 先生は椅子に座り自分の事を話しだした。 「もう何年も経つのに好きな人が死んでしまって忘れられない。昨日の占いは当たってました。本当に死んでしまったあいつよりも好きな人ができるのか。俺はずっとこの叶わぬ想いに苦しめられていて……」 俺は先生のプライベート過ぎる話しまで聞いてしまった。普段適当に仕事もこなしているように見える先生は、闇が深く辛い思いをしていた。なんだか今までと違う目で先生を応援したくなった。 「わかりました。それでは運命の人に出会うのか占ってみましょう」 「お願いします」 先生の顔を見ると少し微笑んでいたが寂しそうな顔をしているのが印象的だった。自分が変装をしていることも忘れ、先生に微笑み返して占いを始めた。
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