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具体的に忙しい理由を優羽にきちんと説明してくれるところが城ヶ崎らしい。
城ヶ崎は強く優羽の腕を引いた。
「力になってるよ。気づかってくれる人がいるだけで頑張れる」
優羽をぎゅっと抱きしめながら城ヶ崎は絞り出すような声でそう告げた。
そんな城ヶ崎を優羽も柔らかく抱きしめる。
「応援してる」
「応援してくれる優羽が可愛い。和む。癒される」
しかし、それで分かったのは城ヶ崎はクリスマスイブを商業イベントだと思っているということと、今はとても忙しそうだということだ。
他にも優羽には気になっていることがあった。
それは城ヶ崎のプロポーズだ。
『する』と言われたもののそれがいつ来るのかは知らされていない。
もしかしてクリスマスイブなどを考えているのだろうかと思ったら、商業イベントだと切って捨てるようなセリフと、凍りそうな表情で見られたのだ。
──クリスマスはないわね。
いつ来るか分からないということに、優羽はどきどきさせられていたのである。
もしかしたらそれこそが城ヶ崎の作戦なのかもしれなかった。
「素敵なイブになるかは全く予想がつかないの」
「あ、城ヶ崎先生がお忙しい感じですか?」
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