Prolog

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 いわゆるよくあるお話かもしれない。  つまり何があったかというと昨日は同窓会だったのだ。  吉野優羽(よしのゆうは)はそれに参加していた。  優羽は大学を卒業して五年、一般的に一流企業と言われる姫宮商事の総務部で働いている。  入社して五年目になり、しっかり者でよく働くと大変に評判だ。  やさしくてふわりとした雰囲気も実は癒し系として人気があった。  優羽本人だけがそれを知らないだけだ。  身長は158センチ。ヒールを履けば160センチだもんと言っているが顔が小さいせいかもっと小柄に見える。  色素が薄く、茶色の髪が背中にまで流れていて少し目尻の下がった大きな瞳、小さな口元が愛らしく年齢より下に見られることの多い顔だちなのだった。  そんな優羽が目を覚ましたら、まず服を着ていなかった。  目を覚ましたその部屋の中は暗くて、一瞬まだ夜かと思ったが違う。  それはホテルの遮光カーテンに朝日が遮られていただけだったのだ。  肌に直接当たるサラリとした感触のシーツ、一方で優羽をしっかりと抱きしめる心地よい腕と胸。  優羽はそうっとその顔を見る。
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