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「で、女子同士で固まって何話してたんだ?」
城ヶ崎の質問には早紀が答えた。
「優羽の最近の話」
「へえ?」
きゅっと城ヶ崎の口角が上がる。
優羽の好きな表情でこれを見るとキュンとしたなあと学生時代のことを思い返す。
実を言うとさっきまで早紀と話していたのは、優羽が最近失恋したという話だ。
そんなことはバラされたくないからあわてて優羽は城ヶ崎に笑顔を向ける。
「たいした話じゃないから! 本当に」
察した早紀も話を逸らしてくれた。
「優羽はね、最近後輩の指導もしているんだって。高校生の頃から面倒見よかったもんねえ」
「そうだよなあ。後輩にも優しかったって印象ある」
二人にそんなふうに言われて優羽は照れてしまった。
「そんなことないよ。城ヶ崎くんは尊敬されていたでしょう?」
とりとめのない話や懐かしい話をしながら飲むお酒が美味しくて、あまり強くないのについつい飲んでしまったことに優羽は気づいていなかった。
その辺りから記憶がはっきりしない。
なんだか「飲みすぎてないか?」とか言われて、肩を抱かれてタクシーに乗った。
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