10.あなたが幸せなら私も幸せ

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「使ってね! あと、ドライヤーはここだから」  その見事な裸体から顔を逸らしつつ、優羽はドライヤーの入ったキャビネットを指さした。 「分かった」  濡れた髪をかき上げて、城ヶ崎が苦笑している。優羽は慌てて洗面所のドアを閉める。  だって、だって……み、見た……。  優羽はそんなに経験がある方ではないけれど、あんなところまでカッコいいってどういうことだろう?  突然目に飛び込んできたから驚いてしまったけれど、いやな気分ではなかった。  とにかく驚いてしまったのと、嫌な気持ちではなかったということだ。  優羽はマグカップを用意して、電気ポットのスイッチを入れる。常備している紙ドリップのコーヒーの袋を開けた。  それをマグカップにセットする。そしてお湯を注ぐ頃には気持ちは落ち着いていた。  すっかり着替えた城ヶ崎がキッチンの前に姿を現す。  スーツ姿の城ヶ崎は先程までの甘さは嘘のように消えてしまっていて、近寄りがたいようなシャープさを身にまとっていた。 「いい香りだな」 「コーヒー飲んでいく?」  城ケ崎がスーツの腕を軽くまくり、腕時計をちらっと確認する。 「もらいたいが、時間がないな」  優羽は目についた携帯用のマグにコーヒーを入れて、城ヶ崎に渡した。
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