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「じゃあ、よかったら持って帰って。返すのは今度でいいから」
「ありがとう」
余計なことかと思ったらとても素直に城ヶ崎が喜んだので、優羽も嬉しかった。玄関まで城ヶ崎を見送る。
「急に泊まったりして悪かったな」
「ん。いいの」
「また、週末な?」
「うん」
何となく言葉が途切れないのは、お互いに離れがたいからかもしれない。
城ヶ崎は優羽をぎゅっとハグして、軽くキスをする。
「これ以上したら、もっとしたくなるから。今はここまでにする。また連絡する」
するりと頬を撫でて、甘い笑みを残して城ヶ崎は帰っていった。
──こ、恋人の昂希くんってあんなに甘いの?
残された優羽は顔を赤くして、玄関に立ち尽くすことしかできなかった。
今別れたばかりなのに、もう会いたいなんて、おかしいだろうか
後日、金曜日に会おうと城ヶ崎が指定してきたのはホテルの上階にあるレストランだった。
いつも城ヶ崎が連れていってくれるのは、ラグジュアリーな店が多いな……と思っていたら、追加のメッセージが到着する。
『そこの支配人は今、岡本だぞ』
それは高校の同級生の名前だった。どうやら同級生のお店なので予約をしてくれたらしい。
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