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低くその場に飛び込んできた声は城ヶ崎のものだ。
「嫌だなあ、昂希のことをほめていたのに。ねえ? 吉野さん」
優羽はこくりと頷いた。
「いいお話だった」
「余計なこと言うなよ」
城ヶ崎は優羽の頭を撫でる。
その時優羽は気づいた。レストランの中でものすごく注目を浴びている。
ただでさえ、城ヶ崎は目立つのだ。
「席は?」
岡本に聞く城ヶ崎はそんなことは全く気にしていないようで、優羽の頭を軽く撫でたあとは、ウェイティングバーの高い椅子から降りる優羽に手を差し出していた。
とても自然だったので、優羽はその手に掴まる。
岡本がふっと微笑んだ。
「今、案内させるよ」
軽く手を上げ、近寄ってきたスタッフに岡本は声をかける。
「ご予約の城ヶ崎さん、案内してもらっていい?」
「かしこまりました」
席に案内されると、城ヶ崎はさっさと注文を済ませ、優羽に尋ねた。
「なにを話していたって?」
「このホテルの話よ」
「ああ……わりとタチの悪い集団だったからな。実際ここでの乗っ取りが失敗したあと、逮捕されたらしいしな」
なんとなくピンときた優羽だ。
「それって昂希くんも関わってるのでしょ?」
一瞬だけ驚いた顔を見せた城ヶ崎はにやっと笑った。
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