10.あなたが幸せなら私も幸せ

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 低くその場に飛び込んできた声は城ヶ崎のものだ。 「嫌だなあ、昂希のことをほめていたのに。ねえ? 吉野さん」  優羽はこくりと頷いた。 「いいお話だった」 「余計なこと言うなよ」  城ヶ崎は優羽の頭を撫でる。  その時優羽は気づいた。レストランの中でものすごく注目を浴びている。  ただでさえ、城ヶ崎は目立つのだ。 「席は?」  岡本に聞く城ヶ崎はそんなことは全く気にしていないようで、優羽の頭を軽く撫でたあとは、ウェイティングバーの高い椅子から降りる優羽に手を差し出していた。  とても自然だったので、優羽はその手に掴まる。  岡本がふっと微笑んだ。 「今、案内させるよ」  軽く手を上げ、近寄ってきたスタッフに岡本は声をかける。 「ご予約の城ヶ崎さん、案内してもらっていい?」 「かしこまりました」  席に案内されると、城ヶ崎はさっさと注文を済ませ、優羽に尋ねた。 「なにを話していたって?」 「このホテルの話よ」 「ああ……わりとタチの悪い集団だったからな。実際ここでの乗っ取りが失敗したあと、逮捕されたらしいしな」  なんとなくピンときた優羽だ。 「それって昂希くんも関わってるのでしょ?」  一瞬だけ驚いた顔を見せた城ヶ崎はにやっと笑った。
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