1.『窓際のお姫様』

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 なのに、目覚めたらお互いマッパで、しかも優羽には記憶がないのだ。  ──い……一体何があったの?  なにがあったのもくそもない。  確かに記憶はなかったけれど、自分の身体のことは分かる。  気だるく重くて、節々というか筋肉を使った感覚。  そして、こんなに疲れているのに、なぜかつやっつやの肌。  週末をまんじりともしないまま過ごし、月曜日出勤した。隣の席の後輩である、藤井胡桃(ふじいくるみ)が可愛らしい笑顔で優羽の顔を覗き込んでくる。 「吉野さん、おはようございます! あれ? どうしたんですか? 寝不足? お肌がツヤツヤなのにお顔がお疲れです」  その質問はあまりにも的を射すぎている。 「寝たんだけど……」  入社して五年目ともなればアラサーとも呼ばれるお年頃だ。近くで見る藤井との肌は歴然として違うようにも感じてしまう。 (それなりにお手入れはしているんだけど)  そんなことは気にしないで藤井はパソコンの電源を入れながら、優羽に話しかける。 「そういえば、金曜日は同窓会って言ってましたよね? もしかして、焼けぼっくい的なものですかぁ?」  うふふーと藤井の目が三日月のようになっていた。 「そういうんじゃないからっ!」 「えー? いいじゃないですかあ。火がつきやすいらしいですよー」
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