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なのに、目覚めたらお互いマッパで、しかも優羽には記憶がないのだ。
──い……一体何があったの?
なにがあったのもくそもない。
確かに記憶はなかったけれど、自分の身体のことは分かる。
気だるく重くて、節々というか筋肉を使った感覚。
そして、こんなに疲れているのに、なぜかつやっつやの肌。
週末をまんじりともしないまま過ごし、月曜日出勤した。隣の席の後輩である、藤井胡桃が可愛らしい笑顔で優羽の顔を覗き込んでくる。
「吉野さん、おはようございます! あれ? どうしたんですか? 寝不足? お肌がツヤツヤなのにお顔がお疲れです」
その質問はあまりにも的を射すぎている。
「寝たんだけど……」
入社して五年目ともなればアラサーとも呼ばれるお年頃だ。近くで見る藤井との肌は歴然として違うようにも感じてしまう。
(それなりにお手入れはしているんだけど)
そんなことは気にしないで藤井はパソコンの電源を入れながら、優羽に話しかける。
「そういえば、金曜日は同窓会って言ってましたよね? もしかして、焼けぼっくい的なものですかぁ?」
うふふーと藤井の目が三日月のようになっていた。
「そういうんじゃないからっ!」
「えー? いいじゃないですかあ。火がつきやすいらしいですよー」
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