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彼シャツだ。つい、手元のシャツを優羽はじっと見てしまう。
「どうした?」
「ん、彼シャツだなって……」
城ヶ崎はにっと笑って優羽を見ていた。
「それが見たくて渡した」
この世には着ても恥ずかしいという事態が起こりうるらしい。
優羽がシャワーを浴びて、シャツを羽織り、リビングダイニングに行くと、城ヶ崎はコーヒーメーカーからコーヒーを注いでいた。
「あ、コーヒーで良かったか?」
「うん」
城ヶ崎はTシャツと下はジャージで、優羽はシャツ1枚なのが何とも心もとない。
ちょいちょい、と呼ばれて城ヶ崎のところにいくと、上から下までじっと見られた。
その目線に優羽は恥ずかしさを隠せない。
「俺のシャツ着てんの、たまんないな」
きゅっと抱きしめられる。こんなに甘やかされていいのだろうか。
それでも抱きしめてくれる城ヶ崎の腕が気持ちよすぎて、優羽はついその腕を背中に回して抱きついてしまう。
この場所はなんて安心できるのか。
城ヶ崎がつむじにキスしたのが分かる。
「あとで買い物に行こう。優羽のものをここに置いておけば、心おきなく来れるだろ」
「うん」
朝食のあと、着替えて二人は外に出る。城ヶ崎のマンションから歩いて10分程度のところに駅があり駅ビルはファッションビルになっているのだ。
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