11.いちばん幸せ

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 二人はビルの中の雑貨屋で足を止める。 「なにがいるかなぁ、歯ブラシ、化粧品、パジャマ?」 「寝巻きはいらないのは昨日証明したよな?」  それには優羽は反論する。あの心もとない姿でずっと過ごすことは勘弁してほしい! 「部屋着はいるでしょ?」 「シャツでよくないか?」  なんだか、返す言葉がない。 「あと、冷蔵庫に何もなかったわ。後で少し買って帰りましょう。それだとエプロンとかいるかな?」 「それは買って帰ろう」  部屋着はないのに、エプロンは買って帰りたいとはどういうことなのだろうか。  いろいろと雑貨も含めて買い物をして、カフェに入ってひと休みする。 「優羽は何にする?」 「この、限定のフラペチーノかな」  カフェの新作のフラペチーノをトレイに載せて、優羽はご機嫌だ。  そんな優羽を見て城ヶ崎も微笑んでいる。 「甘くないのか?」 「甘いし冷たいわよ。でもつい飲んじゃうの」 「ふぅん?」  スマートフォンを使ってフラペチーノの写真を1枚撮り、優羽はストローに口をつける。  その優羽を城ヶ崎が写メに収めていた。 「んっ? なにしてるの?」 「確かに美味そうだな」  写真を確認した城ヶ崎は満足そうだ。 「それなら一緒に撮りましょ」 「はぁ?」
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