11.いちばん幸せ

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 絶対嫌がるだろうと思ったけれど、渋々ながらも城ヶ崎はフレームには収まってくれる。  撮った写真を確認したら、笑顔の優羽と少し照れている城ヶ崎は口元を引き結んでいて、優羽は笑ってしまった。 「もっと笑えばいいのに」 「そんなんしたことないから、笑えない」  意外な不器用さが逆に微笑ましい。それでも優羽はそんな城ヶ崎がとても愛おしいと思った。  優羽が自分の部屋に帰ったのは日曜日の夜のことだ。  城ヶ崎は優羽のマンションの下まで車で送ってくれたけれど、それはそれは名残惜しそうだった。 「本当に帰るのか?」 「明日から会社だから」 「まあ、会えなくなるってわけではないが。すぐ会えるんだし。それでも淋しいな」  ハンドルにもたれて、子供のように言う城ヶ崎がなんだか可愛らしかった。  そんな城ヶ崎を優羽はそっと撫でる。 「すぐ、会えるよ」 「うん」  身体を起こして、城ヶ崎は助手席にいる優羽を抱きしめる。 「また……な」 「うん、またね」 「これ以上一緒にいたら名残惜しくなるだけだ」  苦笑して、軽くキスをして城ヶ崎は優羽を離した。 (確かに、確かにまた会えるとは言ったけども)  姫宮商事ビルのロビーにいる城ヶ崎を見て、優羽が言葉をなくしてしまっても仕方ないのではないだろうか。
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