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城ケ崎は優羽も知っている何人かの役員と一緒に受付にいた。
ロビーにいる女性達はチラチラとその姿を目に入れているし、中にはあからさまにかっこいい、などと称賛する声も聞こえる。その整った顔だちと胸に光るバッジはかなりの存在感だ。
役員がよろしくお願いしますと言うのに、城ヶ崎は承知しましたと鷹揚な笑顔を向けている。
優羽はちょうどお昼に行く直前だった。隣には以前城ヶ崎を見たことがある後輩の藤井がいる。
「あれ? 焼けぼっくいさんですかぁ?」
いや、そんな名前ではないが、今はそんなことにツッコミを入れている場合ではない。
役員と一緒ということは何かの案件なのだろうが、何も言っていなかった。
そう言えば、その前にまた会えるかもしれないとは言っていたがそれはこういうことなのだろうか?
「城ヶ崎先生、お時間ございましたら、ランチでもいかがでしょう?」
そして、周りを見回した城ヶ崎と思わず立ち止まってしまっていた優羽と目が合う。
城ヶ崎がにっと笑った気がした。
なんだかロックオンされた気がする。
(お、お気になさらず、どうぞ役員とお食事に……)
そう思い足早にロビーを後にしようとした優羽のことなど全く気にしないふうで城ヶ崎は役員に笑顔を向けた。
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