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「優羽の会社で案件が上がっているのは知っていたけど、確実にアサインされるとは限らなかったからな。まあ、俺の得意分野だからその可能性は高いとは思っていたけれど。大きな案件だから、任されて俺も嬉しい」
城ヶ崎はさらりと優羽に言いながら、お任せのランチコースを少し早めに提供してもらうよう店員に依頼している。
店員も快く引き受けてくれた。優羽や藤井の休憩時間にも配慮したのだろう。
「お二人は同窓会で再会されたんですよね?」
「そうだよ」
藤井の質問にも城ヶ崎はにこやかに答えていた。
城ヶ崎の外向けの顔は今まで優羽はあまり見たことがなかったけれど、その対応はさすがだなぁと優羽を感心させるようなものだ。
「分かりますー。本当に吉野先輩は素敵ですからね。柴崎さんにはもったいないくらいでしたから、素敵な彼氏ができてよかったですぅ」
「柴崎?」
その名前が出て優羽はぎくんとする。
ほんの微かに城ヶ崎が分からないくらい一瞬だけ無表情になり、その後笑顔になったのを優羽は見た。
(こ……怖いっ)
「藤井さん、それはもう終わったことだから」
「教えてもらえる?」
それはそれは魅力的な城ヶ崎の笑顔に藤井が逆らえるわけなどなかった。
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