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「ちょ……私そこまではっ……言ってないわよ、そんなこと!」
何を言いだすのよ、この二人はっ!
「まあ下手そうですけどー。自己中ですもんね。エリート臭漂わせようとしてるけど、エリートじゃないし。ご令嬢は後ほど後悔されると思いますけど、ざま見ろですー」
藤井はそんなことを言っているとは思わせないくらいの可愛らしい笑顔でえげつないことを言っている。
「吉野さん、冷静に考えてみて下さいよ。うちでエリートだったら今頃、海外赴任して戻ってきてますって」
確かに恋愛に夢中になっていた時は気にしたことはなかったし、エリート臭を漂わせようとしてる、という藤井の表現には笑ってしまった。
藤井はトロ鉄火にワサビをつけて、口に入れて美味しーと喜んでいる。
周りがそんなふうに見ているとは思わなかった。
城ヶ崎も機嫌よくお寿司を食べていた。
「君とは気が合いそうだ」
藤井に向かって城ヶ崎がそう言って笑顔を向ける。
その作り笑顔は素晴らしいとしか言いようがないのだが、藤井はそれにも動ずることなく淡々と返していた。
「彼氏がいますけど」
「俺にも溺愛する彼女がいるがな」
目元に笑みを滲ませる城ヶ崎から急にじわっと色気が漏れて、優羽は戸惑ってしまった。
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