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「それは気が合いますね。私も吉野さんのこと大好きなんですよ。同期の中には指導役の先輩の対応がイヤで辞めていってしまった子もいますけど、吉野さんのもとでそういうことは一度もないですから。社内にも吉野さんファンは多いですよ」
「なるほど……」
「ランチの時間帯は人通りも多いですからね。今頃泣いてる男性社員もいるんじゃないですか?」
「俺は正しい行動をしたな?」
「充分な牽制になったかと思います」
しっかりしている子だとは思っていた。ふわふわとした雰囲気だけれど、押さえるところはいつも押さえている。
けど、ここまでとは!
「柴崎さんって人によって対応変えて嫌な人でした。吉野さんにはいい顔してましたけど、総務でも嫌いな人も多いです」
「そうなの?」
「そうですよ。ゴマすりが上手だからずっとああやって渡っていくんでしょう。実力なんてないですよ。私は溺愛してる彼女の後輩だからってお寿司ご馳走してくださる方を応援します。美味しかったぁ。ひと足先に戻ってますね! あと十分くらいはお話できますよ」
「良くできる子だな」
城ヶ崎が感心した様子を見せている。
「本当にご馳走になっていいんですか?」
藤井が城ヶ崎に向かって首を傾げる。城ヶ崎は機嫌よく頷いた。
「とても有意義な時間だったからな。惜しくはない」
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