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特に通常の社員用のベンダーとは違い、その応接室用のものはお茶にしてもコーヒーにしてもカフェで飲むものと遜色のないものが用意されている。
そして会議の際に使用するプロジェクターなどは優羽たちが用意することもある。
その日もコンシェルジュからヘルプで会議室の準備を頼まれた。
優羽はコンシェルジュが管理している部屋の奥に置かれているプロジェクターを抱えて、会議室に向かう。
壁際のスクリーンを下ろし、プロジェクターのスイッチを入れたところでコンシェルジュの「こちらです」と来客を案内する声が聞こえた。
使用は十四時からと聞いているのに、まだ十三時半だ。いくらなんでも早すぎないだろうか。
慌てて顔を上げた優羽の前には、驚いている城ヶ崎の姿があった。
今は優羽の彼氏ではない。来客なのだ。
優羽は丁寧に頭を下げた。
「申し訳ございません。アポイントは十四時からと伺っていたものですから」
「いや。こちらが準備のために早く来すぎてしまったので。どうぞ気にしないでください」
優羽の対応に笑顔で城ヶ崎は答える。
「城ヶ崎先生、お飲み物はご用意させていただいてよろしいですか?」
コンシェルジュは城ヶ崎に笑顔を向ける。
「いえ。それは皆さまお集まりになってからで。私は、資料の準備等があるので」
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