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「承知いたしました」
コンシェルジュは丁寧にお辞儀をして部屋を出ていった。
優羽がてきぱきとプロジェクターの準備をしていると、城ヶ崎がバッグからパソコンを取り出した。
「すみません、モニター用のケーブルをお借りして構わないですか?」
「あ! こちらです」
優羽はケーブルを渡すが、どうにも顔が熱い。ケーブルを渡したその手をきゅっと握られた。
「……!」
「真っ赤なんだよ、優羽。そんな顔したらたまんないだろう」
「お……驚いちゃって……」
「俺もだ。仕事している優羽、ちょっと普段よりきりっとしていて、少しいかがわしい気持ちになるな」
「変なこと言わないで」
城ヶ崎は慣れた感じでプロジェクターとパソコンを繋ぎながら、画面の様子を確認していた。
そうして澄まして優羽に声をかける。
「オフィスラブってこんな気持ちか」
「もう!」
優羽だって、パソコンを見る城ヶ崎や、こんな会議にも慣れている城ヶ崎を見ていて胸がどきどきいうのを止められなかったし、まさか顔を合わせるなんて思いがけないことだったから顔まで赤くなってしまったのだ。
「セクハラとか言うなよ?」
「言わないわよ。では城ヶ崎様、こちらで私失礼いたしますね」
「ありがとう」
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