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「なぜ、そんなことを?」
城ヶ崎が興味を持った雰囲気だったのが嬉しかったのか、とても法務を扱うとは思えない様子で彼女は嬉々として教えてくれた。
「あまり評判の良くない方みたいなので」
「そうなんですか?」
優羽から直に指導してもらっていると言っていた後輩である藤井はそんなことは言っていなかった。
指導役の先輩が嫌で辞めていった同期がいても優羽はそんなことはなかったと言っていたのだ。
それに社内には優羽のファンも多い、と言っていた。優羽自身はおっとりしていて、こういった噂話などに敏感なタイプでもないし、噂なんて気にする方ではない。
城ヶ崎が内心で腹が立ったのは、もしもそれが事実なら自社の評判を悪くしかねないことを、いわば取引先でもある城ヶ崎にこれ見よがしに言ってきたことだ。
しかも優羽に限ってはそんなことは有り得ないはずである。身内贔屓だけではない。
そんな優羽だからこそ惹かれて止まないからだ。
先日、優羽にちょっかいを出てきた元カレとかいう柴崎のこともある。
城ヶ崎としては最愛の優羽のことを悪く言われて怒らない訳がなかった。
もちろん不快な気持ちは微塵も顔には出さない。むしろ城ヶ崎はふわりと笑ってみせた。
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