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「もしも、本当なら由々しいことですね。あなたはそれを誰かから聞いたんですか？ 単なる噂？」
彼女は城ヶ崎から嘘ではないのかと疑われたように思ったのかも知れない。
「本当です！ 社内での懇親会があって、その時に被害にあったと聞いたんです」
夢中になって言い募る分、噂の出所についても漏らしてくれた。
「被害、ですか」
「諦めてくれと言ったのにしつこくて困ったと言っていたわ」
その懇親会という名の飲み会で、優羽がどのように言われていたのか想像すると城ケ崎はさらに、はらわたが煮えくり返りそうだった。
元カレが優羽をひどく振ったのだ、と言ったのは優羽自身ではない。近くで見ていた藤井だ。この場合は目撃情報の方が噂話よりも信頼できる。
ただ人は事実よりも、面白おかしい噂の方が撒き散らしたくなるし、広めたくなるものだ。
「そのお話、興味がありますね。今度詳しくお伺いさせていただいて構いませんか？」
女性の顔が輝く。
「ぜひ！」
この調子なら何でもしゃべるだろうと城ヶ崎は判断した。具体的な約束はしないで城ヶ崎はその場を離れた。別に二人きりで会うとは一言もいっていない。詳しく聞きたいといっただけだ。
「また、改めてご連絡しますよ」
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