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14.城ヶ崎弁護士の判断
事務所に戻った城ヶ崎はまずは業務を優先にすることにした。
姫宮商事の担当は優羽の会社と知った城ヶ崎が事務所の別の担当者に交渉して、半ば強引にもぎ取ったもので、だからこそミスは許されないものだ。
今回は新規契約に伴うリーガルチェックというある程度慣れた案件だが、常に弁護士業務は漏れやミスは許されない。
形のあるものを売っている訳ではなく信頼そのものを売り物にしているのだから、それは当然だ。
リーガルチェックとは、契約などに際して契約書の内容に問題がないか、また契約内容に法令違反などにあたる点がないか、クライアントに不利な条項はないかなどをあらかじめ検証することだ。
特に新規の企業同士との契約ともなると、契約書だけでちょっとした辞書ほどの厚さになることもある。
その全てに目を通して契約書の内容に法的な問題がないか、思わぬトラブルを招くような条項はないか、確認して検討していく。
また指摘の有無に関わらずフィードバックをレポートとして提出するので、業務量はかなりのものだ。
それを城ヶ崎は淡々とこなしていった。優羽のことも気になるが、城ヶ崎は一旦業務に集中する。
「昂希」
母方の叔父であり、この事務所の所長でもある片桐が城ヶ崎の執務室をひょいっと覗いてきた。
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