15.利益相反

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15.利益相反

 正直に言えば、その日の城ヶ崎はご機嫌だったのだ。  打ち合わせ先が姫宮商事だったし、希望していたようにアポイントの時間を午後に入れてもらうことができた。  帰りは優羽に声をかけて一緒に帰ろうと思っていたのだ。  打ち合わせは十四時からだったけれど、スライドを使うミーティングだったので、先に準備しておこうと城ヶ崎は姫宮商事のミーティングルームに早めに行くことにした。  姫宮商事ビルの二階にあるミーティングルームは来客専用のもので、コンシェルジュまで配置されており彼女らは何か国語も操ると聞いて、初めて訪問した時はさすが商社だと関心したものだ。  そのコンシェルジュに案内されミーティングルームに入ったところ、プロジェクターの準備をしてくれている人物がいた。  ──助かるな。  ふと顔を上げたのが優羽だったのは、城ヶ崎も驚いたが、優羽も驚いていた。  そのきょとっとした様子が果てしなく愛おしい。  本人もまさか城ヶ崎と顔を合わせるとは思っていなかったのか、照れているところもまたたまらない。  仕事をしている優羽は普段のふんわり柔らかな雰囲気よりも少しだけキリッと引き締まっていて、そんな顔を見られたことが嬉しい。  少し強引に仕事をぶんどって良かったと心から思った。
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